今を生きるのに精一杯の人も、それなりに余裕があるという人も、老後を考えると不安になるという人は多いのではないでしょうか。
楽しく生きる、というためには、不安から少しでも抜け出すという視点も大切だなと思っています。
老後の不安というと健康とお金、この2つが両横綱。健康については食べ物の話などで触れていますし、今後も大きなテーマだと思っています。今回はもうひとつのお話、お金のことを考えていきます。
人生でお金がかかるものといえば
人生でお金がかかるものというと、世間ではどう言われているのでしょうか。
ファイナンシャルプランナーや保険会社の人が営業で言ったりしているのは、住まいと子どもの教育、といったところだと思います。
人それぞれライフサイクルは違うので、保険会社の人がいう人生に自分を当てはめることもないし、ここを読んでいる人は独身や子どもがいない人も多いと思いますので、世間で言う「結婚して子どもは二人で、ローンを組んで家を買う」なんていう判で押したようなストーリーでは参考にならないのではないでしょうか。
しかし、ライフサイクルに関わらず多くの人にのしかかる大きな出費は「リタイア後の生活費」です。
自分は一生働いていくんだ、生涯現役を目指したい、という人もいるでしょうが、どんな事情で働けなくなるかわかりませんので、労働意欲に関わらず、「リタイア後の生活費」は考えないといけない大きな問題です。
年金で生活していけるのが本筋だとは思うけど
本来は年金で日々の暮らしをまかなえる、というのが理想の形だとは思いますが、そうした視点に立つと日本の年金制度は「実質的に」破綻しています。
ただ、制度としては日本の年金は破綻することはないと思います。
たまに年金が積立だと思っている人がいますが、日本の年金制度は賦課方式を採用しているため、現役世代が年金世代に仕送りする、みたいなお金の流れになっています。
そのため、人口動態的に現役世代が減っていき、年金世代が増えていくことが確定しているので、受給額を減らすか、現役の支払額を増やすしか方法がありません。
インフレが起こっても支給額を上げない、保険料を上げるのは抑えるけど税金を上げて給付に回すとかあの手この手を国は使ってくるでしょうが、年金で生活できるという可能性は通常の都市生活をしている限り絶望的です。
働けなくなったらいくら持っていればいいのか
2019年に金融庁の報告書に端を発したいわゆる「老後2000万円問題」で、かなりの額を60歳までに貯め込まないと老後破産する、と世間が恐れおののいたのを覚えているでしょうか。
政府は「不安をあおるな」とか「政府が失政していると感じさせる」といったことから、報告書を受け取らない、という変な事態となりました。
しかし、iDeCo(個人型確定拠出年金)に専業主婦や公務員が加入できるようになったり(2017年)、つみたてNISAが開始されたり(2018年)しています。これは「もう国は老後の面倒は見られないから、自分たちでなんとかしてね、まあ税金は優遇するから」という国からのメッセージなので、私たちはそうした時代に生きているんだという自覚をもつしかありません。
いくら「老後2000万円問題」を隠そうとしても、現実は変えられないので、正直あのときの金融庁には、騒ぎを起こしてくれてありがとう、と思っています。実際、この騒動があってから、お金の問題に向き合おうという人がとても増えたと思います。
ただ、いくらあればいいかというのは人によって違うので、金額だけにとらわれないように、各自が生き方を考えていかないといけないですね。
金額はともかく、やることはほぼ決まっている
老後のお金の対策は色々な人が色々言っていて、調べると怪しい詐欺まがいのことも出てきたりしますが、王道と言われている方法があって、そこに集約されていくのかなと思っています。
破滅というのは、なにか一発逆転を狙って、わけのわからないことをしてしまう、という場合に多く発生するものですし。
お金や人生設計の話なので、人の数だけ考え方はありますが、考えのたたき台としても使えると思いますので、よく言われている「やるべきこと」を記してみます。
倹約する
王道の中の王道ですね。
年代に関係なく、意識して身につけてしまいたいところです。
家計簿をつけて、無駄な支出はないか洗い出すことが第一歩です。
安売りしているからといって無駄な買い物をしていないか。惰性で買っているコンビニスイーツはないか。衝動的に買ったけど着ていない服はないか。そうした洗い出しはやってみないとわからないことが多いので、家計簿の大切さがわかります。
携帯なら格安cimに変えるとか、家賃や光熱水費、保険の見直し、車を手放しても大丈夫な地域なら手放す、といった、一度変えれば継続する倹約は効果が大きいです。
貯蓄する
年代にもよりますが、まずはいざというときのために現金で100万円持っているように、と言われることが多いです。
これは、貯蓄のない人への最初の目標として提示される金額でもありますし、病気や失業時などの緊急資金、といったことのほか、100万円貯められることが、貯蓄を習慣化できているかのひとつの目安になる、といった側面があるためでもあります。
投資する
投資というと怪しげに思う人が未だにいるようですが、長期の超低金利、インフレ懸念、そうしたことからも現金だけで持っているのは逆に危険という見方があります。
実質の購買力を考えると、額面が同じでも現金は目減りしていくものですし、現金だけ貯蓄しているのは見方を変えると「日本円だけに全額投資している」とも言えるからです。
先にも記したように、国が税制面に配慮したiDeCoやつみたてNISAを用意しているので、まずはそこから始めるのがよいようです。
まずは資金拘束もなく手続きもそれなりに簡単なつみたてNISAでしょうか。
つみたてNISAは投資信託というものを購入することになりますが、以下の観点で、色々調べていくのがよいと思います。
手数料負けをしないようにネット証券と提携カードを使って積み立てていく(SBI証券+三井住友カード、楽天証証券+楽天カード、マネックス証券+マネックスカード)
積み立てるものは、全世界株式か米国のS&P500種指数連動のインデックスファンド
この方法は定額で毎月積み立てていくことになりますが、株価の高いときには少ししか買わず、株価の安いときにはたくさん買う(ドルコスト平均法)というのが自動的にでき、また配当金も自動的に再投資されるので、設定するだけでとても難しい投資が低コストでできてしまうという方法です。
この、倹約→貯蓄→投資については、また個別に書く機会も作れたらと思っています。
(投資は自己責任でお願いします)
老後不安対策の問題点
老後不安問題の対策をしようと、色々行動を始めてみると、意外な落とし穴があることに気が付きます。
不安は不安をよび、倹約も貯蓄も投資もどんどん強化していくようになっていきがちです。
100万円貯めたら不安で200万円欲しくなり、1000万円貯めたら不安で2000万円欲しくなり、1億円貯めたら2億円欲しくなる、そういうものだからです。
聞いた話では、金融資産だけで50億円ある人が、不安だ不安だまだ足りない、と言っていて、周りの人が、なに言ってるんだろうと呆れた、という事例もあるのだとか。
ケチケチとした暮らしになり、守銭奴のように溜め込み、リスク許容度を超えて投資に回しさらに不安に、という日々となる。その結果、今を充実させることがおろそかになってしまった、というケースはよくあることです。
老後の不安ばかり考えて、そのために今が不安になっているという、なんとも本末転倒な人がけっこう多いようです。
人生100年時代とは言いますが、いつまで生きられるかはわからないし、そもそも死ぬときにいくら貯められるかという競争をしているわけではないのですから。
やはりここでもバランス
時々、職場の若い人と後悔しないで歳を取るにはどうすればいいのか、といった話になることがあるのですが、こんなふうに話したことがあります。
・・・若いときに遊んでばかりいた人は歳をとってから「もっとちゃんとお金貯めておけばよかった」と後悔する。
若いときに貯金ばかりしていた人は「もっと若いときに色々遊んでおけばよかった」と後悔する。
遊びも貯金もバランス良くやっていた人は「こんな中途半端な生き方をしないで、どっちかに振り切って生きればよかった」と後悔する。
どうやって生きても隣の芝は青く見えるんだから、同じ後悔するなら、遊びも貯蓄もバランス良くやって後悔するのを自分なら選ぶ・・・
実際のどた山は両方ともよくできなかったという、かなり残念な状態なのですが、自分が若いときに戻れたらこう考えるだろうな、という例として何度かこんな内容を話したことがあります。
今まで生きてきて、こんなふうにすれば一番楽しいと思うよ、という現時点でのひとつの結論なのだと思います。
コメント
親しい人たちと共同生活して、厳しい老後を乗り切っていきたいです。
共同生活とまでいかなくても、近場に固まって住んで助け合うとか理想ですよね。