NISAの日

お金の話

2月13日は「NISAの日」だそうです。

昨年12月に2024年から始まる「新NISA」の発表があって、世の中が騒然としましたね。

2023年までのNISAや積立NISAとは別に、新たに仕切り直しのように始まる制度なので、これまでNISAで投資してきた人も同じように使える制度です。

ひとり1800万円の枠を使える

この制度の基本となるのが「ひとり1800万円の非課税投資枠がもらえる」という点です。

これまでの制度はたとえば積立NISAなら、20年間の非課税枠、という仕切りでしたので、20年後には増えた部分については非課税ですが、その後は特定口座に移動してしまうので、その後の増えた分には課税されます。

新制度では、1800万円のNISA枠内はずっと非課税です。将来のために長期投資する人がほとんどでしょうから、使い勝手がいいですね。

この枠はもちろん簿価ですので、500万円の投資が1000万円に増えていたとしても、残り投資枠は800万円ではなく、1300万円です。

1800万円枠は何度でも使える

生涯で1800万円分を投資に回せる、といっても人生なにがあるかわかりません。

病気や大きなアクシデントで急な出費となってしまった、という状況も考えられます。

やむなくNISAで投資していた老後資金を取り崩さなくてはいけない、ということだって人生ではあるかもしれません。

今回の新制度が素晴らしいのは、売却してしまった部分は復活する、ということです。

たとえば500万円投資していて残り枠1300万円時に投資していたものを200万円分売却したら、枠は1500万円分に復活します。

また、値上がりしていても、購入時の金額で復活するところも良い点です。

500万円投資していて800万円に値上がりしていた場合、300万円増えた分は非課税、800万円売却したら普通に500万円の枠が復活します。「300万円儲けたからあなたの枠は1500万円ね」とかケチなことは言われません。

年間の投資枠は360万円まで

ひとり1800万円まで、という新NISAですが、年間の限度額は360万円までとなっています。

つまり、枠を最速で使い切るのに5年かかるということになります。

たとえばある年に360万円分の投資をし、400万円に増えたので売却した、という場合、増えた40万円は非課税、360万円分の枠は復活しますが、その年の使用限度は使い切ってしまったため、翌年までNISA枠での購入はできません。

購入枠に限度を儲けないと、短期売買のトレーダーにも無制限に非課税枠を与えることになり、国民の資産形成、という目的からは外れてしまいますから、妥当な制限だと思います。

積立投資枠と成長投資枠

年間使用できる360万円のうち、積立投資枠が120万円、成長投資枠が240万円、となっています。

これは今までの積立NISAと一般NISAのイメージに近いでしょう。

120万円分は、金融庁が厳選した優良ファンドに投資しなくてはいけないのですが、240万円分は個別株や米国株などを含めて幅広く投資できます。

もちろん、成長投資枠分で積立投資枠で厳選された優良ファンドに投資することもできます。

旧来の一般NISA部分に対応するところ、といいたいのですが、ここの部分が注意点になるかもしれないので、後述します。

自分のペースでできる

これまでの積立NISAは、年間40万円を限度に毎月積立てる、というやり方が主流だったので、月々33333円という中途半端な額を証券口座に移していく設定をしていた方が多かったようです。いわゆる「ドル・コスト平均法」というものになりますね。

しかし、「積んでおくだけなら、投資は早く買ったほうが理論上は得。1月に全部使いたい」とか「せっかく買うなら価格が落ちたときにまとめて買いたい(株価の予想はほぼできないのであまり意味はないけど、気分の問題でこうしたい人はいる)」といったドル・コスト平均法はいやだ、という個別のニーズには応えられませんでした。

新しい制度では年間の金額の範囲で、好きなタイミングで使用できます。

商売で収入に波がある、という人にも使いやすそうですよね。

これまでは「積立、資産形成はこつこつやりなさい」みたいな、生き方を規制されるような雰囲気を感じていた面もなくはないのですが、新制度では年によって投資する金額がバラバラでいいし、そのうち1800万円投資すればいいし、枠を使い切らなくてももちろんいいし、こつこつやる必要すらない」という精神衛生上にもよい制度となっています。

落とし穴はないのか〜その1 成長投資枠

こんな神がかった素晴らしい制度、どこかからの入れ知恵とはいえ今の政治でできるのはなんかおかしい、そう感じる感性も必要だと思います。

絶対に落とし穴があるはずです。

その1つ目が「成長投資枠」です。

前述したとおり、年間360万円の投資枠のうち、120万円は日経平均や米国のS&P500といった指数に連動するインデックスファンドなどが対象になっている「積立投資枠」ですが、240万円は「成長投資枠」になっています。

金融機関に相談などに行ってしまうと「成長投資枠では、もっと攻めた投資をして資産拡大をしていきましょう」などと言われて、手数料の高い、いわゆる「ぼったくりファンド」を売りつける、という状況が確実に生まれることでしょう。

この新制度発表時の総理大臣は経済音痴と揶揄されていますが、もともとは銀行の出身なので、銀行が商売しやすい面を残したのかもしれません。

成長投資枠も含めて、S&P500や全世界株式連動のインデックスファンドをネット証券で買っていけるかどうかがカギになってくるでしょう。

落とし穴はないのか〜その2 増税、年金制度改悪

このような、投資して国民が得をする可能性がとても高い制度をつくるのに非課税、そんなおいしい話があるでしょうか。

これは増税や年金制度の改悪とセットと見るのが妥当でしょう。

今回のNISA制度改正は、きちんと理解して行動すれば、特に年齢が若ければ若いほど、自力で老後資金を調達できるようになる可能性を秘めているものです。

ということは、国は年金支給額をさらに減額していくでしょう。

もともとこれまでのNISA制度が始まったときから、「国としてはもうみなさんの老後の世話はできません、非課税の制度作りますので、自力でどうにかしてください」というお手上げのメッセージだったわけで、今回はさらにブラッシュアップさせたもの、ということになります。

増税については、今回の1800万円の枠を超えて投資できる人は「金持ち」認定されて、現行の金融所得課税を約20%から30%にしてくる可能性が高いです。これは現在の総理大臣が就任時からこだわっている増税です。

消費税も上げていくでしょう。もっともさすがに食料品の軽減税率は維持か拡大をするなどはあるとは思いますが。

結局私たちの行動はどうすればいいのか

投資なので絶対はありませんし、今後資本主義が終わってしまう、というような極端な世の中になるかもしれません。そうなれば、何をしてもしなくてもどのみち新世界で生きていくことになりますので、現行の社会が継続する前提で最善を尽くすのが現実的でしょう。

2023年2月現在では、選択はほぼ2択かな、と思います。

ネット証券を開設して、S&P500または全世界株式連動インデックスファンド(種類がいくつかあるので、ファンドの資金流入額が増えていて繰り上げ償還が起こる可能性が低く、手数料が最安なもの)を淡々と積み立て、ずっと長期で持ち続けること、ここに落ち着きそうです。

そのために価値のある節約をする、収入について考える、といった投資資金を捻出する作業も必要になりますね。

S&P500種指数への投資は、これまでどの期間を切り取っても15年以上投資を続ければマイナスになったことがないので、絶対とは言い切れませんが、プラスになる再現性は高いですし、これから米国の一強時代が終焉する、と考えるならば、全世界株式を選択するのもよいかもしれません。

NISAの日、ということで考えてみましたが、歳をとっても明るい気持ちで楽しく生きていくために、お金の話は避けて通れないとしみじみ感じます。

コメント

  1. こや より:

    投資信託して、利益が30万円ほど出たので解約したら、手数料に30万円取られたことがあります。

    • dotayama8 より:

      それは極度のぼったくりですね。資産形成のためには、銀行と大手証券会社(窓口や電話)にはいってはいけない、というのが基本です。

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