「好き」と「よい」のはざまで

日々の楽しみ

好きなことをしたい、好きなものを食べたい。人生を楽しむためには自分の「好き」はなんなのか、ということを考えることがまず第一歩ですよね。

嫌なことをやっている時間なんて、人生の残り時間を考えたらもったいないことだし、ストレスを感じて楽しいどころではないですから。

でも好きなことが「よくないこと」だったらどうしますか?

と言っても、好きなことがよくないことってどういうこと? とピンと来ない方も多いと思うので、例を上げてみましょう。

好きとよいのはざま〜食べ物

このブログが食をテーマにすることが多いので、まずは食べるもので考えてみましょう。

毎日、仕事帰りにコンビニに寄って甘いものを買うのを楽しみにしているAさん。特に新作スイーツは全部試してみないと気が済まないとのこと。

Aさんは甘いものが大好きらしく、日頃からよく食べているそうです。

それに加えてストレス発散の大事な友だちのようにもなっている甘いもの。多少仕事で嫌なことがあっても毎日のコンビニスイーツで満ち足りた気持ちになるのだそうです。

でも健康診断ではいつもヘモグロビンA1cが高めに出て、指導を受けるという話。

確かに糖質の取りすぎ、さらに安価なものには、ぶどう糖果糖液糖なども使われています。健康の心配と天秤にかけると好きだからといって、これまでどおりの「コンビニスイーツ幸福感」を味わっていていいのだろうかと疑問を持っているということです。

そして時間を確保したいBさん。

Bさんは会社員ですが、昨今の社会情勢のとおり、昇給もほとんどなく、少し収入を増やしたいなと考えて、今はやりの副業をはじめました。

最初はなかなかうまく行かなかったのですが、ネットせどりを始めたところ、収益化できるようになり、まだ収入は少ないのですが副業が面白くなってきたそうです。

元々Bさんは料理が得意でなく、面倒くさいというタイプだったのですが、楽しくなってきた副業に時間を割かなければいけないので、食事はほぼ持ち帰り弁当かスーパーのお惣菜になっているとのこと。

そうした食生活を続けていたところ、1年で10kg体重が増えたとのことです。昼間はデスクワークで、副業も動くような仕事ではないので、自然ななりゆきですね。

好きとよいのはざま〜お金

この「はざま」問題では、食とともに多いのがお金の話です。

就職のために地方から東京に出てきたCさん。公的な機関で働いていたのですが、給料が安いとよく不満を言っていました。

穏やかな性格でお酒が好きだったので、よく飲み歩いていたのですが、昼間はけっこうストレスが溜まる仕事だったこともあり、お酒で気分転換をしていたようです。

週末はパチンコ。音がうるさい、煙い(今は違うのかな?)、時間が取られる、というイメージで、どた山は苦手な空間。なんでパチンコにはまっているのか聞いてみたいと思っていたのですが、とても楽しそうに通っているようだったので、聞けずに今となっています。

Cさんは東京に出てきたくて、公的機関の採用試験も努力したとのことですが、定年と同時に地方に戻っていきました。

どうやら退職後の生活が難しかったようで、気楽な東京暮らしを諦めて、兄弟を頼って実家に帰ったようです。せっかくがんばって好きな生活を手にしていたのに、60を過ぎてから窮屈な暮らしに戻るのも荷が重いだろうな、と案じたものです。

Cさんは、「昔の友だちからも、戻ってきなよ、って楽しみにされている」と言ってはいましたが、本当なのか強がりなのか、よくわかりませんでした。

飲み歩くのもパチンコも、お金がかかることです。不満を言っていたように、本当に給料も高くはなかったのでしょう。好きなことをしていて、老後に(おそらくは)意に沿わない暮らしになる、というちょっと悲しい光景でした。

Dさんは大学卒業前の休みを利用して、長期の貧乏旅行に出かけました。行き先は中国。当時は中国の自由旅行が解禁されたばかりで、学生の間でも隠れた人気でした。

共産国ならではの思い通りにならない旅行に苦労はしましたが、すっかり貧乏旅行にはまってしまったDさん。でも帰ったらすぐに社会人としての生活が始まります。

帰ってきてからも、はまってしまった貧乏旅行への思いは断ち切れず、憧れのインド貧乏旅行を夢に見ていたそうです。

今よりももっと新卒一括採用が主流で、中途採用が難しい時代だったこともあり、卒業が決まっていたDさんは4月になると会社員として働き始めました。

日本でサラリーマンをしていると、貧乏旅行で長期で休む、というのはまず不可能。1ヵ月休むには、仕事を辞めなければならない、という極端な社会です。

たまたまDさんの就職した会社は日本としてはとてもホワイトな企業だったので、1週間、カレンダーの並びでうまく行けば10日、年に2回なら休みを取れる状態でした。

それに料金が高くて気は進みませんでしたが、年末年始やゴールデンウィークもうまく利用して、こまごまとアジアを旅する、という方向で気持ちをなだめたとのことです。

社会人としての仕事と、やりたかった貧乏旅行とのバランスを取ったつもりでいたDさんでしたが、旅行先での費用はそれほどかからなくても、年に2度、3度の航空機代は結構な出費となりました。

しかも、年齢が進むにつれ、旅行先が元々好きだったヨーロッパに変化していったのも誤算でした。貧乏旅行といっても、旅費は格段にかかるようになっていったのです。

キャリアを重ねていって、給料も多少は上がっていったのですが、それに伴い、少しは贅沢をしてもいいかな、と旅先でおいしいものを食べたりちょっといい宿にもたまには泊まるようにもなりました。会社の中でも、「Dさんは旅行が趣味でよく出かける人」という地位を確立してしまって、いつも快く送り出された環境であったことも生活が変わらない原因でした。

Dさんは退職を間近に控え、自分のこれからの生活が退職金と年金だけではとうてい立ち行かないことを目の当たりにして茫然としました。旅行も若いときの情熱とは違い、習慣化してしまっていたのに、振り返るのが遅かったのです。

好きなことが「よい」ことならいいのだけれど

好きなことがたとえば、添加物や農薬の少ない食材を料理して、体にいい食事をすること、なんていうことであれば、食材が高くつく、という点を除けば好きなことがよいこと、と言ってもよいのだと思います。

筋トレやジョギングが心地よくて、という場合も、過激にならなければ好きとよいが両立していると言えるでしょう。

こうした場合は、「好きとよいバランス」95点、といった感じになると思います。

これまで見てきた人たちはどうでしょうか。

人それぞれの感覚によるところもあるので、なんとも難しいところですが、どた山の個人的見解といういうことで話していきたいと思います。

甘いものが大好きで、コンビニスイーツに、言ってみれば依存しているAさん。

本来は甘いものを食べるという習慣を止めるべきだと思います。食べなければ、なくても大丈夫になるものです。

それでも食べたい、ということであれば、毎日のご褒美を週末のご褒美にするなど頻度を下げるなど自制をしないといけないのではないでしょうか。体を壊してからでは遅すぎます。

副業のネットせどりで時間がなく、食生活が乱れているBさん。

まだ初期の段階なので、バランスを考えれば大丈夫なのではないでしょうか。

せどりにかける時間を減らして、簡単な料理をするようにすれば解決しそうですもんね。

順調に行きかけている副業のペースを落とすのが怖いことはよくわかりますが、体を壊しては、副業どころか本業にも影響は避けられないので、恐怖感を克服してほしいです。

AさんとBさんはこれからどうにかなりそうでしたが、時間が経過してしまったCさんとDさんは、これから回復していくのはかなり厳しそうですね。

どちらも今現在の「好き」を優先しすぎた人生を送り続けてきた結果、ということなのですが、どうすればよかったのかは、自分では気づくのが難しくても、周囲から見るとわかりやすい場合が多いです。でも、喜んでやっていることを周囲が忠告するのは、よほどの関係性と信頼関係がないと、ほとんど不可能に近いので、自力で気づけるようになりたいところです。

たとえばCさんは飲みに行くのは金曜の夜だけ2軒まで、とか決めて、パチンコは習慣性のものだからやめる、とかすればよかったのですよね。

Dさんも旅行は年に1回にする、習慣化してしまった一定年齢以降は、自分を見つめ直して楽しみの方向性を変える、などの機会を見つけなくてはいけなかったのかな、と感じます。

健康とお金、このふたつは歳を取るにつれとても大事だと痛感します。

一方、「好き」を追い求めていくと健康やお金に悪影響が出てしまう、というケースはとても多いですね。

好きなことはたまに楽しんで、そのよさを味わう、という自制心が必要だな、と思うのと同時に、健康やお金に影響を与えない楽しみを見つける、ということの重要性をまわりの人たちから教えられました。

そんな楽しみとして、どた山は筋トレはしていますが、もっと読書とか街歩きとかしてみようかなと思っています。お酒や音楽活動といった、体やお金に負担のかかる趣味もあるので、「好きとよいバランス」80点を目指してみたいです。

コメント

  1. こや より:

    切ないお話です。
    好きなことは、太く短くではなくて、細く長く続けていくしかないですね。
    でもそうはいかないのが人間なので、文学なんかが生まれるんでしょうね。

    • dotayama8 より:

      色々なケースを考えるとつらい気持ちになるテーマですね。好きなことが持続可能なことなのであれば、大事にしていきたいものです。

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